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2012年10月 1日 (月)

9月の読書まとめ

10月に入りました。今年もあと3ヶ月か~happy02 先月を振り返って9月の読書をまとめてみました。読んだ本は11冊。先月は、「海の都の物語り」を読了できて達成感がありました。これから秋が深まり、読書には本当にいい季節ですね。10月も読みたい本、棚に満載です。

供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)供述によるとペレイラは… (白水Uブックス―海外小説の誘惑)感想
 穏やかで人の良さそうなペレイラさんが、なんで供述を取られているか、ずっと読み手の興味を削がずに進める淡々とした文体がすごく魅力的。ペレイラさんのなんとなく意味なく行なった行動というものが、実は大きな意味をもつようになるという展開が胸を打ちます。通奏低音のように言論統制や警察の監視の目が散りばめられて恐ろしい気がします。実は、今の社会にも通じるものがあると思えたり・・・。初タブッキ、夢中で読みました。   些事ながらペレイラさんのオムレツづくしの食事の影響で、今日のランチはオムレツでした。
読了日:9月30日 著者:アントニオ タブッキ

須賀敦子全集 第6巻 (河出文庫)須賀敦子全集 第6巻 (河出文庫)感想
須賀さんの全集も6巻目。全集を通して、落ち着いた静謐な佇まいの表紙に惹きつけられるが、特にこの6巻の「モランディのアトリエ」がいい。近代イタリア美術史に最も重視されたモランディを表紙にもってきた編者のセンスの良さも好感が持てる。須賀さんのイタリア文学論も彼女がイタリア文学史の中で最も重要だと考えている数々が明晰に語られて、敬服の一語に尽きる。紹介されている本を、呆れることに一冊も読んでいない私は、慌ててタブッキとギンズブルグを読み始めた。イタリア文学の最高峰「神曲」を読むのは、私の生涯の宿題。
読了日:9月27日 著者:須賀 敦子

ふがいない僕は空を見たふがいない僕は空を見た感想
連作短編小説とは知らずに読み始め、冒頭作の「ミクマリ」のエロさに圧倒されました。続けて読もうかどうしようかと迷いましたが、読了して良かったです。どうしようもない不可抗力で“ふがいなくなってしまった”僕や私が、その状況の中でもがきながら抗って生きていこうとしている気配が感じられました。四話目の「セイタカアワダチソウの空」の良太青年には、映画「誰も知らない」のような状況の中、しっかり生きていってと応援したくなりました。
読了日:9月27日 著者:窪 美澄

なのはな (コミックス単行本)なのはな (コミックス単行本)感想
萩尾望都さんが原発の問題を象徴的に取り上げた作品。表題作の「なのはな」と巻末作「なのはな――幻想『「銀河鉄道の夜』」が心に残りました。他の3作品は、放射能物質を擬人化して描いたものでしたが、放射能物質自体に強い個性を持たせるのには、ちょっと違和感がありました。なのはなを植えたというチェルノブイリのことやヒロシマのことなどにもう少し焦点を当てて欲しかったです。
読了日:9月23日 著者:萩尾 望都

渡りの足跡渡りの足跡感想
空を見上げること、遠くを眺めることを思い出させてくれる本でした。鳥だけでなく、生きものたちが渡って行く先、還っていくプロセスを誠実に見つめている梨木さんのまなざしが限りなく温かく、そして洞察に満ちていました。  章の終わりに付いている鳥の解説も楽しめました。
読了日:9月23日 著者:梨木 香歩

賢い血 (ちくま文庫)賢い血 (ちくま文庫)感想
ヘイゼル・モーツの、真理を求める狂気的誠実さは、マクロに見ると悲劇的で暴力的だが、望遠で見ると、喜劇的なのかもしれない。突き詰めて生きていく彼の人生は、一点の光に集約されていく。 登場人物の言葉も気持ちも簡潔に書かれていて、ふと聖書の文体に通じるものがあるかもと思った。
読了日:9月15日 著者:フラナリー オコナー

海の都の物語〈6〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)海の都の物語〈6〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)感想
シリーズ、最終巻を読み終えるのが嬉しいような悲しいような複雑な思いになった。ヴェネツィア共和国の最期がどんなであるか知りたいと思う一方、かつての勇猛で華麗であった海軍を有する都市国家ヴェネツィアが滅亡してしまう寂しさを感じずにはいられない。ヴェネツィア大使、司令官とナポレオンとのやり取りが生々しい。ヴェネツィア共和国が亡くなった時、サン・マルコ広場に集まった市民の「ヴィーヴァ、サンマルコ!ヴィーヴァ、ラ・レプブリカ!」(聖マルコ万歳!共和国万歳!)という叫びに思わず涙してしまった。
読了日:9月12日 著者:塩野 七生

海の都の物語〈5〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)海の都の物語〈5〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)感想
大きな時代の波に晒され、かつての交易が地中海から大洋に移っていったことで、ヴェネツィア共和国が政治的、経済的にだんだんと衰えていったことに納得させられた。一方で、この国が、言論を制限しなかった出版業や高い医療水準を持つことで、文化的社会的な力を極めていたことも見逃せない気がした。
読了日:9月12日 著者:塩野 七生

海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)感想
ヴェネツィアが1463年から255年の歳月を費やしたトルコとの戦いは、熾烈を極めたものだったことが明解にたどれた。ヴェネツィアの“文化使節”、画家のベッリーニがコンスタンティノーブルに行ってマホメット2世に気に入られたエピソード(血管が出ている、斬られた聖ヨハネの首の絵を見て、マホメット2世は実際に奴隷の首を斬って、血管や神経が首の内部にひっこむことを指摘している)が、このスルタンの冷徹な性格を表していて、恐ろしくなる。 9章「聖地巡礼パック旅行」のトロマーリオ(ガイド)はヴェネツィアらしい発想で愉快!
読了日:9月5日 著者:塩野 七生

マザーズマザーズ感想
子どもが三歳くらいになるまでの、自分の時間が全然ない気がして先の見えない孤独な気持ちをよく描いていると思います。金原さんの本を初めて読みましたが、映画のロングショットのようなじっと人間を見据えた書き方、うまいな~と感じました。特に五月と弥生のラストのクライマックスは息を飲んでしまいました。 「蛇にピアス」も読んでみようと思います。
読了日:9月3日 著者:金原 ひとみ

海の都の物語〈3〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)海の都の物語〈3〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫)感想
イタリアの4つの海の共和国のうち、いかにしてヴェネツィアが生き残っていったか、またはどうして他の3つの国が衰退していったかが分かりやすく書かれていた。 興味深いのは、第七話「ヴェネツィアの女」に出てきた「カヴァリエレ・セルヴェンテ(奉仕する騎士)」だ。不在がちの夫の代わりに妻の話し相手になる紳士たちのことをいうそうで、夫も公認というところがすごい!
読了日:9月3日 著者:塩野 七生

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