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2012年11月 1日 (木)

10月の読書まとめ

11月に入りました。すっかりあの暑さを忘れる寒さが到来しましたね。文化祭もこの時期に開かれますが、コニコもいろいろなジャンルの本を読んでひとり文化祭のような気分。10月は11冊の色合いの違う本を読んでみました。

夜叉桜 (光文社時代小説文庫)夜叉桜 (光文社時代小説文庫)感想
あさのあつこさんの時代物第2弾を一気に読みました。「弥勒の月」で主な登場人物の人物像が思い描けたので、いきなり江戸の世界にワープできました。好きな人物は岡っ引きの伊佐治。情に厚い常識人の伊佐治ですが、客観的なところとどこか遊び心のある人物で、思いっ切り歪んだ性格の同心、小暮信次郎といいコンビです。目利きの遠野屋とビードロの簪職人とのシーンも俊逸でした。
読了日:10月31日 著者:あさの あつこ

老人と海 (1966年) (新潮文庫)

老人と海 (1966年) (新潮文庫)感想
サンチャゴ爺さんの4日間の死闘は、自然と個の人間が真正面から向き合う壮絶なものだった。特に後半のサメとの格闘は切実なものがあった。ラストで、サンチャゴがライオンの夢を見るのがヘミングウェイらしくて印象に残る。
読了日:10月30日 著者:ヘミングウェイ

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)感想
恋してしまいそうな雲いっぱいな、いえ夢いっぱいなポエジー。「ソフィーの世界」をもっと遊び心ふんだんに使ったファンタジック・ミステリーともいえますでしょうか。 語り手が祖父である傳次郎の日記を読むという入れ子の視点が面白く、どこか不思議なラビリンスに迷い込んでしまう感覚にウキウキ、あるいは雲をつかむような戸惑いを覚えながら楽しみました。 どこかで聞いたような言葉の欠片と忘れてしまった懐かしさを味わいながら読了しました。またはじめの1ページをめくりたくなるような終わりのない物語です。
読了日:10月30日 著者:クラフト・エヴィング商會

ベストセラーの方程式 (ちくま文庫)ベストセラーの方程式 (ちくま文庫)感想
よしもとばななの「TUGUMI」がミリオンセラーになった頃のベストセラーを分析した本。かなり前の時代感が拭えないが、「薔薇の名前」が8年もかけて丁寧に訳された本であるとか、ちくま文学の森シリーズの存在を知ったのは、収穫だった。 生活のすきま時間に少しづつ読んで、意外と楽しめた。
読了日:10月25日 著者:井狩 春男

幸福論 (白水Uブックス1098)幸福論 (白水Uブックス1098)感想
TVの「100分de名著」シリーズを見て読んでみたくなった。岩波文庫、集英社、白水uブックスなどから複数翻訳が出ていてどれがオススメか迷ったが、哲学者の中村雄二郎氏の訳した白水uブックスを手にとってみた。身体と精神の合一が説かれていて、情念に負けない生活を勧めている。とても実践的で、特に「上機嫌療法」という、上機嫌でなくても上機嫌であるふりをするという心の持ちようが面白かった。道を歩いていると不機嫌そうな顔をしている人が多い昨今、アランの「幸福論」が読まれる理がある気がする。巻末の辻邦生の解説もいい。
読了日:10月23日 著者:アラン

贖罪の奏鳴曲贖罪の奏鳴曲感想
中山氏の本は3冊目。ソナタという言葉がどんなふうに関わってくるかというところも読む時にキーになりました。罪を犯したものが音楽を聴くことで気持ちを揺さぶられていったシーンが、さすがに俊逸。医療少年院で御子柴が出逢う雷也、次郎の切羽詰った心境や、刑事の渡瀬&小手川コンビたちの執念に魅せられて夢中になって読み切りました。 「連続殺人鬼カエル男」も読んでみようと思います。
読了日:10月22日 著者:中山 七里

「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)感想
イギリス映画や小説を読んで、いまひとつわかりにくい階級や日常のマナーなど、皮肉とユーモアたっぷりに読ませてくれました。それにしても、イギリスは連合王国だと認識しました。イングランドのサッカーチームとスコットランドのサッカーチームの長年の確執など、日本でいうと薩長のような感じなのかと想像したり、観光だけでは見えないところを発見しました。 それにしても、パブの話を読んでいるとビールが飲みたくなりますね。
読了日:10月15日 著者:コリン・ジョイス

21世紀の世界文学30冊を読む21世紀の世界文学30冊を読む感想
あえて“世界文学”と銘打った意欲作。今の活きのいい作家で取りあえず英語で読める多様な小説がズラリ並んでいた。都甲氏の「面白くなくては読書はつまらない」的な熱い想いに激しく共感。特にドン・デリーロやピンチョンの評は、力が入っていて前のめりで読めた。ジュノ・ディアスに至っては、思わす最後に翻訳までしていて、サービス満載。オススメ30冊を原書で読んでみたいが、むずかしそう・・・。
読了日:10月15日 著者:都甲 幸治

インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)インド夜想曲 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)感想
ポール・オースターの「ニューヨーク・トリロジー」を感じさせる人探しの物語り。でも、舞台がインドとなると、出逢う人々も一筋縄ではいかない人ばかり。その人たちも生きているのか、その場所も現実のものなのか、やがて自分が誰なのかさえもあいまいにただよっていく、その浮遊感が不思議な魅力です。タブッキ、もう少し読んでみようと思います。
読了日:10月7日 著者:アントニオ タブッキ

ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)ある家族の会話 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)感想
須賀敦子さんが翻訳されていること、この本の文体について彼女が分析されていることから、ぜひ読んでみたいと思った。いつも怒っている父の「なんてロバなんだ」という捨てぜりふが、だんだんと愛おしくなってきたり、仲がいいんだか悪いんだかわからない兄弟姉妹たちの身を案じてしまう自分を発見した。ナタリアの結婚も、じつにさらりと書いてあるのだが、その簡潔さに余計、その時代の大変さ(ファシズムの嵐がふくイタリア)を感じさせられた。
読了日:10月4日 著者:ナタリア ギンズブルグ

少年少年感想
原書「Boy Tales of Childhood」を読む。お馴染みのQuentin Blakeのイラスト付き。まるでダールの作品を読んでいるように面白くてハラハラする回想録だった。駄菓子屋さんのおばあさんや、陰険でサドっぽい校長先生など、ダールのお話に欠かせない役者が揃っていて、こういった人達が実在の人物だとは呆れるほど。 チョコレートのモニターをやっていたのも、あの傑作「チャーリーとチョコレート工場」ができる種になったのだろうが、そういった体験を想像力であのお話にしたダールの才能はやっぱりすごい。
読了日:10月3日 著者:ロアルド・ダール

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