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2012年12月 2日 (日)

「天地明察」(上)(下)

2010年の本屋大賞をとったときから読みたかった本、またしても2年遅れの読書です。

時は江戸時代。碁をもって徳川に使える“四家”、御城の碁打ち衆のひとり安井算哲、また一方で渋川春海とも名乗った男が、夢と勝負をかけた改暦の物語。

律儀で清々しい。何百年も前の日本に天を仰ぎ見て研鑽を重ねた男たち、それを支えた女たちが活き活きと描かれています。さらに面白かったのが、描かれる時代の文化や政治の元になったシステムでした。

たとえば、神道の柏手です。

左手は火足(ひたり)すなわち陽にして霊。
右手は水極(みぎ)すなわち陰にして身。
柏手(かしわで)とは、陰陽の調和、太陽と月の交錯、霊と肉体の一体化を意味し、火と水が交わり火水(かみ)となる。柏手は身たる右手を下げ、霊たる左手へと打つ。己の根本原理を霊主に定め、身従う。このとき火水は神に通じ、神性開顕(しんしょうかいげん)となって神意が降りる。
 手を鋭く打ち鳴らす音は天地開闢の音霊(おとだま)、無に宇宙が生まれる音である。それは天照大御神の再臨たる天磐戸(あまのいわと)開きの音に通じる。(「天地明察』(上)文庫 135ページ)

なるほど、柏手を何にも意味もわからずに打っていましたが、ふか~いいわれがあったのか、と膝を打ちました。

そして、春海が導かれるように突き進んでいく改暦の事業の重さ、社会にもたらす影響の大きさというものも、気づかされた次第です。「今日が何月何日であるか。その決定権を持つとは、こういうことだ。宗教、政治、文化、経済―全てにおいて君臨するということなのである。」(「天地明察」(下)文庫85ページ)“たかが暦、されど暦”なのですね。

夜空の星が澄んで心地よい12月。一途な人生をおくった春海の物語をたどるのにいい時期かもしれません。このお話、好きです。

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